ある日のことであった。
風呂に浸かっていると、蛇口がシュウマイにそっくりなことに気づいてしまった。
なんということだろう。
今まで意識の外にあったが、風呂の蛇口はシュウマイではないか。
皮の部分の色、円筒なのか丸なのか分からない形状、先端のアクセント部分の大きさ。
シュウマイは風呂の蛇口をモチーフにして作られた食べ物だったのかもしれない。
もしくはその逆。
翌日。
居ても立っても居られなくなった私は、スーパーで冷凍のシューマイとマーブルチョコを購入した。
マーブルチョコもよく考えてみると蛇口の先端部分に似ている。きっと蛇口の先端部分をモチーフにした菓子に違いない。アポロチョコはアポロ11号の宇宙船の形を模してアポロという名前になったことは知っていたが、その理屈で考えると蛇口の先端部分はマーブルという名前だったのだろう。
シュウマイのパッケージには「大粒でジューシー」「ふっくらうす皮」など魅力的なワードが並ぶが、蛇口っぽさの一択で日本ハムのものを選んだ。
監修している陳健一には悪いが、このシュウマイには蛇口になってもらう。
さて、シューマイとマーブルチョコをドッキングしたものがこれである。
蛇口だと思ってみれば蛇口だが、シュウマイ感がまだ強い。
言うまでもなく、ひねっても水は出ない。
これでシュウマイ=蛇口説の立証は失敗したわけだが、手元にはまだシュウマイとマーブルチョコが余っている。
では、緑のチョコをシュウマイの上に置けばグリンピースになるのではないか。
……
これは成功と言っていいだろう。
どうみてもグリンピースにしか見えない。
急にシュウマイにグリンピースを載せねばならなくなったときに、手元にマーブルチョコさえあれば、なんとかごまかすことが出来るということが分かっただけでも、人類の時計の針はいま進んだといえよう。
で、あれば、
黄色だとどうなるのか……?
からしを載せているようにしか見えない。
もはや蛇口ではないが、こうして見るといままで何故シュウマイとマーブルチョコが出会わなかったのかと運命を呪ってしまう。
フォトジェクニックさという角度から見れば、黄色いマーブルチョコはシュウマイと相性バツグンであるといえよう。
ちなみにこの逆で先端部分が緑色になっていて、見た目がシュウマイの蛇口というものはすでにあるらしい。本稿は蛇口を自作する予定だったが、そのことに気づいてしまったので写真を撮っただけでお蔵入りになっていた。
ここから先の展開をどうするか皆目見当もつかない。横浜に行って本場のシュウマイに蛇口を会わせるべきか、はたまた弁当箱を湯船に見立てて風呂弁当を作るべきか。このままでは面白い記事にはならないと悩む日々が続いた。
だが、昨日風呂に入っていた時に気づいてしまった。これなら問題ないという解決策が。希望の光が。コペルニクス的転回が。
ただ、残念ながら紙面の都合で今日の記事はここまで。
果たしてシュウマイはどうなってしまうのか。
後編につづく。