電車待ちに読むブログ

カレーのおいしい季節です

八月の虹

人間万事塞翁が馬とは言うけれど、何気ない習慣が予期せぬ結果に繋がることは往々にしてあると思う。

高校生の頃、テストで政治経済の成績が良かったのは、おそらく幼少期に夕方のニュースをよく見てたからじゃないだろうか。幼稚園から小学校低学年ごろのルーティンは決まっていて、帰宅後は近所の公園で日が暮れるまで遊んで、風呂に入って、夕食を食べるのが日常だった。風呂を出てから夕飯の準備を待つ間は、何故だかわからないがテレビの前にいたので、小泉総理やブッシュ大統領や天気予報士の木原さんの顔は必然と覚えた。(当時はそらジローがいなかったので、木原さんはソロだった)

ニュースの合間に流れていたCMも覚えている。メガネドラッグ石丸電気加ト吉、全部のCMソングは今でも歌える。このうちメガネドラッグは元気に営業しているが、石丸電気加ト吉は会社がなくなってしまったのでもう歌うことはないかもしれない。

ただ嬉しいことに、ネット社会の現代においてこれらのCMは動画サイトで観ることが出来たりする。あまりにも嬉しいので何年かに一度はネットでこれらのCMを漁っているのだが、どうしても見つけられないCMがあった。

もはやどこの企業のCMかも覚えておらず、分かっているのは断片的なイメージのみ。

照りつける太陽……

砂漠の中を歩き回る人々……

滅びた文明……

でもって、シリーズものだったのも確かだった。

 

10年間くらい探した結果、半年くらい前に映像を見つけることができた。


8月の虹

主演は唐沢寿明。環境問題の啓発を目的に作られたようだ。

2045年にタイムスリップした唐沢が、砂漠化して人類が宇宙に移住した後の地球で、娘に「地球を殺したのはあなた」「あなたは何もしていない。ただ関係ないって言っていただけ」と説教される(という夢を見て、考えを改める)というのがストーリーだ。

動画は7分ぐらいあるが、実際は細切れに放送されていたのを覚えている。

改めてみると、小気味よいテンポと煤けた虹や砂漠の対比が薄気味悪い。

公開は2006年だから記憶よりは何年か後のCMになるが、オゾンホールや森林破壊の映像が環境破壊の象徴として登場しているところは、何か懐かしさを感じる。

 

今や環境問題の最先端はマイクロプラスチック対策だ。CMでは消費社会の比喩として使われていたレジ袋も日本では有料化と相成った。

15年前からは多少は進歩していると考えてよいのだろうか。それとも見当違いの場所を彷徨っているだけなのか。

この15年、少なくとも、加ト吉石丸電気はなくなった。

何気ない習慣が予期せぬ結果に繋がることは往々にしてあると思う。